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ふるさと納税「実質2,000円」が崩れる人
2026年は確定申告とワンストップ特例で最大3.3万円の差
公開日: 対象:2026年(令和8年分)の寄付
ふるさと納税は「上限内なら自己負担2,000円」と説明されます。ところが2026年分は、同じ金額を寄付しても、控除の受け方によって自己負担が変わります。2026年の税制改正で所得税の基礎控除だけが最大104万円に上がり、住民税側の計算に使う税率が据え置かれたためです。当サイトのふるさと納税 限度額シミュレーターで、経路ごとに計算しました。
📊 計算してわかったこと:確定申告だと自己負担が2,000円を超える。ワンストップ特例なら2,000円
独身・給与収入のみで、控除上限いっぱいまで寄付した場合です。寄付額も返礼品も同じなのに、自己負担だけが変わります。
| 年収 | 控除上限 | 自己負担 ワンストップ | 自己負担 確定申告 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万 | 29,000円 | 2,000円 | 2,000円 | — |
| 500万 | 61,000円 | 2,000円 | 5,012円 | 3,012円 |
| 600万 | 78,000円 | 2,000円 | 2,000円 | — |
| 671万 | 103,000円 | 2,000円 | 12,312円 | 10,312円 |
| 700万 | 109,000円 | 2,000円 | 2,000円 | — |
| 1,082万 | 216,000円 | 2,000円 | 8,555円 | 6,555円 |
| 1,300万 | 328,000円 | 2,000円 | 35,284円 | 33,284円 |
年収1,300万円の人が上限まで寄付すると、確定申告とワンストップ特例で33,284円違いました。年収によって差が出たり出なかったりするのは、後述のとおり「2つの税率がずれるかどうか」で決まるためです。
※ 独身・扶養なし・40歳未満・給与収入のみ、社会保険料は年収の約14.75%で計算。住宅ローン控除などの税額控除は考慮していません。数値はふるさと納税 限度額シミュレーターに同じ年収を入れると再現できます。
ふるさと納税の控除は3つに分かれている
寄付額から2,000円を引いた額が、次の3つで戻ってきます(上限内の場合)。
- 所得税の寄附金控除:(寄付額−2,000円)×所得税の税率×1.021
- 住民税の基本分:(寄付額−2,000円)×10%
- 住民税の特例分:(寄付額−2,000円)×(90% −所得税の税率×1.021)
3つを足すと、ちょうど寄付額−2,000円になります。これが「実質2,000円」の仕組みです。ただし、1つ目と3つ目の「所得税の税率」は、同じ言葉でも決め方が違います。
2つの「所得税の税率」がずれた
住民税の特例分で使う税率は、実際の所得税率ではなく、「住民税の課税所得 − 人的控除差調整額」を所得税の速算表に当てはめて決めます。人的控除差調整額とは、所得税と住民税の控除額の差のことで、基礎控除の分は5万円です。
2026年分の改正では、所得税の基礎控除だけが最大104万円に上がり、住民税の基礎控除(43万円)も、人的控除差調整額(5万円)も据え置かれました。その結果、次のようなずれが生まれます。
| 年収500万円(独身) | 金額 | 税率 |
|---|---|---|
| 所得税の課税所得(基礎控除104万円) | 約178万円 | 5% |
| 住民税の課税所得 − 人的控除差調整額5万円 | 約203万円 | 10% |
確定申告をすると、1つ目の所得税は実際の税率5%で軽減されますが、3つ目の住民税の特例分は10%として計算されます。差の5%分(正確には5%×1.021)だけ控除が足りず、その分が自己負担に上乗せされます。
ワンストップ特例なら2,000円のまま
ワンストップ特例では所得税は動かさず、所得税分に当たる申告特例控除を住民税から差し引きます。この申告特例控除の割合も、住民税の特例分と同じ税率をもとに決まります。そのため控除の合計は寄付額−2,000円とぴったり一致し、自己負担は2,000円になります。
つまりずれは「確定申告をしたときだけ」起きます。
寄付額が大きいほど差が広がる
上限いっぱいでなくても、寄付額に比例して増えます。増える額は「(寄付額 − 2,000円)×(特例分の税率 − 所得税率)×1.021」です。
| 寄付額 | 年収500万 (差5%) | 年収671万 (差10%) |
|---|---|---|
| 10,000円 | 2,409円 | — |
| 30,000円 | 3,430円 | 4,859円 |
| 50,000円 | 4,451円 | 6,901円 |
| 100,000円 | — | 12,006円 |
| 上限まで | 5,012円 (61,000円) | 12,312円 (103,000円) |
いずれも確定申告で控除を受けた場合の自己負担。ワンストップ特例ならどの金額でも2,000円です。年収500万円で上限を超えない範囲の寄付なら、寄付額のおよそ5%が上乗せされる計算になります。
自己負担が増える年収帯
年収を1万円刻みで計算すると、確定申告した場合の自己負担が2,500円を超えたのは次の5つの帯でした(独身・給与収入のみ)。
- 188万〜209万円(所得税が0円になり、特例分は5%で計算されるため)
- 440万〜534万円(所得税率5%/特例分10%)
- 647万〜687万円(10%/20%)
- 1,070万〜1,105万円(20%/23%)
- 1,287万〜1,336万円(23%/33%)
扶養家族や生命保険料控除などがあると、課税所得が変わるため、この範囲も前後にずれます。ふるさと納税 限度額シミュレーターに年収を入れると、自分がどちらに当たるか(ワンストップ特例と確定申告の自己負担)が表示されます。
それでも寄付する価値はあるのか
あります。返礼品は寄付額の3割までと決まっているため、上限まで寄付して確定申告した場合でも、次のように返礼品のほうが大きくなります。
| 年収 | 上限まで寄付 | 返礼品の目安(3割) | 自己負担(確定申告) | 差引 |
|---|---|---|---|---|
| 500万 | 61,000円 | 18,300円 | 5,012円 | +13,288円 |
| 671万 | 103,000円 | 30,900円 | 12,312円 | +18,588円 |
| 1,300万 | 328,000円 | 98,400円 | 35,284円 | +63,116円 |
損になるわけではありません。ただし「実質2,000円」という前提で寄付先を決めていると、思っていたより手出しが増えます。
確定申告になってしまう主なケース
ワンストップ特例を申請していても、確定申告をするとその申請は無効になり、ふるさと納税も確定申告に含める必要があります。次のような人は確定申告になります。
- 寄付先が6自治体以上
- 医療費控除やセルフメディケーション税制を受ける
- 住宅ローン控除の1年目(住宅ローン控除シミュレーター)
- 副業の所得が20万円を超える(副業の税金シミュレーター)
- 株式の損益通算や繰越控除をする(株の税金計算)
ワンストップ特例を使う場合は、寄付先が5自治体以内で、申請書が翌年1月10日必着です。
どうすればいいか
- 確定申告の予定がない人:寄付先を5自治体以内にまとめ、ワンストップ特例を使えば影響はありません。
- 確定申告をする予定の人:上の年収帯に当たるなら、自己負担が2,000円より増える前提で寄付額を決めてください。それでも返礼品のほうが大きいので、やめる必要はありません。
- iDeCoや医療費控除がある人:課税所得が下がると控除の上限そのものも下がります。年収だけで出した目安より少なめに見ておくと安全です。
よくある質問
- ワンストップ特例のほうが得ということ?
- 2026年分については、上の年収帯に当たる人はそうなります。ただし確定申告が必要な事情(医療費控除など)があるなら、そちらの還付のほうが大きいことがほとんどです。ふるさと納税だけで判断しないでください。
- 去年(2025年分)はどうだったの?
- 2025年分(令和7年分)の改正でも所得税の基礎控除は上がっており、同じずれが起きる年収帯がありました。2026年分は基礎控除がさらに上がったため、ずれる人の範囲が広がっています。
- 住民税だけで確認できますか?
- 翌年6月ごろに届く住民税の決定通知書で、寄附金税額控除の額を確認できます。所得税の還付分は確定申告書の控えで確認します。
出典:総務省「ふるさと納税のしくみ/税金の控除について」、みやき町「ふるさと納税に係る寄附金税額控除の計算方法」(特例控除率・申告特例控除の割合)、国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(基礎控除・給与所得控除)