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住宅ローン控除、年収300万円なら
767万円より多く借りても控除は増えません
公開日: 対象:2026年(令和8年分)の所得
住宅ローン控除は「年末残高の0.7%」です。ただし控除できるのは、実際に納めている税金の額までです。ここから逆算すると、年収ごとに「これ以上借りても控除が増えない残高」が決まります。住宅ローン控除シミュレーターと同じ計算で、年収別に出しました。
📊 計算してわかったこと:年収400万円なら、年末残高1,614万円で控除は打ち止め
2026年分(令和8年分)の所得で計算した、年収別の「使える控除額」と、それに相当する年末残高です。この残高を超えて借りた分には、控除がつきません。
| 年収 | 所得税額 | 住民税からの 控除枠 | 使える控除額 (年) | 使い切れる 年末残高 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 控除なし |
| 250万円 | 13,050円 | 13,050円 | 26,100円 | 約373万円 |
| 300万円 | 26,850円 | 26,850円 | 53,700円 | 約767万円 |
| 350万円 | 40,650円 | 40,650円 | 81,300円 | 約1,161万円 |
| 400万円 | 56,500円 | 56,500円 | 113,000円 | 約1,614万円 |
| 450万円 | 72,800円 | 72,800円 | 145,600円 | 約2,080万円 |
| 500万円 | 89,100円 | 89,100円 | 178,200円 | 約2,546万円 |
| 550万円 | 113,300円 | 97,500円 | 210,800円 | 約3,011万円 |
| 600万円 | 146,000円 | 97,500円 | 243,500円 | 約3,479万円 |
| 700万円 | 271,900円 | 97,500円 | 369,400円 | 約5,277万円 |
| 800万円 | 422,500円 | 97,500円 | 520,000円 | 約7,429万円 |
よく言われる「住宅ローン控除があるから、繰り上げ返済しないほうが得」は、控除枠を使い切れている人の話です。年収300万円で3,000万円を借りている人は、控除枠21万円のうち5.37万円しか使えていません。残りの15.6万円は消えています。
※ 単身・扶養なし・40歳未満・給与収入のみ、社会保険料は年収の14.75%で計算。所得税は復興特別所得税を含まない額。基礎控除は令和8・9年分の額(年収約665万円以下で104万円)。住民税からの控除枠は「所得税の課税総所得金額等の5%・上限97,500円」。扶養控除や生命保険料控除があると所得税はさらに減るため、使い切れる残高はこれより小さくなります。
なぜ「借りても増えない」のか
住宅ローン控除は、計算した控除額がそのまま戻る制度ではありません。納めた税金を返してもらう制度です。だから、納めている税金より多くは戻りません。
順番はこうなっています。
- 年末残高 × 0.7% で控除額を計算する(これが「枠」)
- まず所得税から引く
- 引き切れなかった分を住民税から引く。ただしこの枠は所得税の課税総所得金額等の5%・上限97,500円まで
- それでも余った分は、消えます(翌年に繰り越せません)
年収300万円の人の所得税は26,850円、住民税からの控除枠も26,850円。合わせて53,700円が上限です。年末残高が767万円(53,700円 ÷ 0.7%)を超えると、そこから先は何も増えません。
年収200万円の人は、そもそも所得税がかかりません。住宅ローン控除は1円も受けられません。2026年は基礎控除が最大104万円に上がったため、所得税がかからない年収帯が広がりました。詳しくは「2026年12月の年末調整はいくら戻る?」に書いています。
年収550万円を超えると、住民税の枠は増えません
表の「住民税からの控除枠」が、550万円以降は97,500円で止まっています。これが上限だからです。
つまり年収550万円より下の人は所得税と住民税の両方が伸びるのに対し、それより上の人は所得税だけが伸びます。だから使い切れる残高は、年収500万円→550万円で約465万円増えますが、600万円→700万円では約1,798万円増えます。年収が高い人のほうが、借入額を増やす意味が大きくなります。
夫婦で借りると、使い切れる場合があります
一人では枠を余らせてしまう場合、二人で分けて借りると世帯として使い切れることがあります。年末残高3,000万円(控除枠21万円)を、一人で借りた場合と1,500万円ずつに分けた場合で比べました。
| 夫婦の年収 | 一人で3,000万円 | 1,500万円ずつ | 差(年) | 13年の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 400万 + 400万 | 113,000円 | 210,000円 | +97,000円 | 約126万円 |
| 500万 + 500万 | 178,200円 | 210,000円 | +31,800円 | 約41万円 |
| 600万 + 400万 | 210,000円 | 210,000円 | ±0円 | — |
| 700万 + 300万 | 210,000円 | 158,700円 | −51,300円 | 約−67万円 |
年収が近い夫婦ほど効きます。年収400万円同士の夫婦なら、同じ3,000万円を借りるのに、分けるだけで13年で約126万円の差になりました。
一方で、年収差が大きい夫婦が半分ずつに分けると、逆に減ります。年収700万円と300万円の例では、年51,300円減りました。収入の低い側が枠を余らせるためです。年収700万円の人は一人でも3,000万円分を使い切れるので、わざわざ分ける必要がありません。
持分の比率は「使い切れる残高の比」で決める
年収差がある夫婦が分けて借りるなら、半分ずつではなくそれぞれの「使い切れる残高」に合わせると無駄が出ません。
年収700万円と300万円の夫婦が3,000万円を借りる場合、年収300万円の側の上限は767万円です。ここを767万円にして、残り2,233万円を年収700万円の側が持つと、合計で210,000円(枠の全額)を使えます。半分ずつにした158,700円より、年51,300円多くなります。
自分の年収での上限は住宅ローン控除シミュレーターで、所得税額は年収手取り計算で確認できます。
ふるさと納税・iDeCoと重なると、さらに減ります
住宅ローン控除は「納めた税金を返す」制度なので、ほかの制度で税金を減らしていると、返す原資がなくなります。
- ふるさと納税:住宅ローン控除で所得税が減っている人は、ふるさと納税の上限額が下がります。上限を超えた分は自己負担になるので、ふるさと納税 限度額シミュレーターで必ず確認してください。
- iDeCo:掛金の分だけ課税所得が下がります。すると所得税も、住民税からの控除枠(課税総所得の5%)も小さくなり、住宅ローン控除の使える額が減ります。住宅ローン控除で所得税がゼロになる人は、iDeCoの節税額も効かなくなります。
- 医療費控除・扶養控除:同じ理由で、使い切れない額が増えます。
控除枠を使い切れていない年収帯(おおむね年収550万円未満で残高3,000万円)の人は、iDeCoを始める前に、住宅ローン控除をどれだけ余らせているか確認したほうがいいです。
よくある質問
- 使い切れなかった分は、翌年に繰り越せますか?
- 繰り越せません。その年に使えなかった分は消えます。
- 借入額を抑えたほうがいいということですか?
- 控除だけを見ればそうなりますが、住宅の価格は控除で決めるものではありません。ここで言いたいのは「控除があるから多めに借りても大丈夫」という判断が、年収によっては成り立たないということです。繰り上げ返済を迷っている人は、控除を使い切れているかを先に確認してください。繰り上げ返済とその分を運用に回すのとでは、ローンの金利と運用で見込める利回りを比べるのが目安になります(運用には元本割れのリスクがあります)。何%で運用すれば目標に届くかは利回りシミュレーターで逆算できます。
- 1年目は年末調整でできますか?
- できません。1年目は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で処理できます。
- 2026年に入居する場合、限度額はいくらですか?
- 住宅の種類で変わります。新築の省エネ基準適合住宅は2,000万円(子育て・若者夫婦世帯は3,000万円)、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円(同4,500万円)です。中古は省エネ基準適合以上なら控除期間13年、それ以外は10年です。一覧は住宅ローン控除シミュレーターに載せています。
出典:国土交通省「住宅ローン減税」(借入限度額・控除期間)、国税庁「住宅借入金等特別控除」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」